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種(しゅ)を超えて
本当は はじめから垣根がない世界・・・
そういえば
こんなプレゼントをもらったこと
おもいだしちゃった
ずっと前に
友人の家を訪ねたとき
家の裏に湖が広がっていた
翌朝 湖のほとりにすわっていたら
遠くにいた白鳥の群れの中から
大きな一羽が近づいてきて
水から上がり・・私のとなりにすわって
私にからだをあずけてきたことがあった
私も白鳥にもたれて
羽根の中にぬくぬくと埋まりながら
彼?彼女?が
長い首を伸ばして真正面から私をみつめて
「それからどうしたの?」と
話の先をうながしてくれた
どれくらいそうしていたのか・・
あれは 夢のような時間だった
またある時は
「富士山こどもの国」に勤めるのが今日で最後という日
園内の駐車場から門に向かう道で
はじめて野生の鹿に出会った
2頭の鹿が 私の車の前に立って
私の車を止めた
「おいで」というので
エンジンをかけたまま
ドアもあけたままついていったら
他の三頭が待っていた
5頭と私の 計6頭?で まあるくすわって
それからの時間は どれくらいだったのだろう
「今日が最後だから 姿を見せてくれたの?」と私が言うと
「四年間 おつかれさま
今から私たちは あなたが大好きな
街のゲートの前のあの丘の上から
あなたを見送ります。」と言ってくれた
「ありがとう」と言って車に戻りながら
私はすぐに まだ事務所に残っている課長に
「街のゲートの前の丘を見てください。
今から5頭の鹿が上がりますよ。」と電話した
彼らは まるでトナカイの絵のように
いっせいに丘にかけ上がっていった
「ああ 鹿が・・。見える見える・・5頭いるね~!」
という課長の興奮した声を聞きながら
私は胸がいっぱいなまま 子どもの国をあとにした
(あとから課長から「今から鹿が上がる、なんてどうしてわかったの?」と聞かれたのには
「鹿がそう言ったんです」というシカなかったけれど・・)
私たちは 最初から
そういう世界にいます
人間だけが 区別しているのかも